シフ&カペラ・アンドレア・バルカのベートーヴェンピアノ協奏曲全曲演奏会に行ってきました

音楽が始まった途端、会場がまるでベートーヴェンの時代にワープしたかのように感じられ、
ベートーヴェンが想像して書いた音楽はまさにこれだ!と思いました。
むしろ、ベートーヴェンが傍らで満足気に微笑んでいるようにすら思えました。
アフタートークで、
シフがどれほどに音楽に寄り添って、またベートーヴェンという人物像に迫って、作品を理解していっているのかがわかり、その表れが音となって、あの素晴らしい演奏が生まれることがわかりました。
コンチェルト5番は、耳が聞こえなくなってから書いたというのに、
一番生命力に溢れていて、一番活力があって、一番輝いているように思えました。
人は、どん底に落ちたときこそ、自分の限界を超えた力を発揮するのか、と。
5番は、男性的な作品と言われているけど、
その”男性的”というのは、2楽章に表れている”男性的な優しさ”だというシフの言葉が印象に残りました。
実際、演奏を聴いてみて、骨格のしっかりとした表現、女性にはない温かさを感じ、ベートーヴェンの人柄に触れた気がしました。
また、今回思ったことが、ピアノ協奏曲は、ピアノが主役でないということ。
ベートーヴェンの旋律に乗せて、他の楽器と対話している様子、調和する様子、先頭をきって奏でる様子、よくわかりました。
貴重な時間を過ごした2日間でした。
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